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韓国の中心でヨハネ受難曲を叫ぶ

2008年3月 4日

韓国に行ってきたのである。ソウルである。事情はともかく、これはまごうことのない事実として受け止めて下さって良い。東京に比して北に位置し、そこでは誰しもが単純に想像するとおりの事実が待ち受けていた。寒かったス。

そこで私は何をしていたのか。赤系統の色の多い飯を喰らい、ソウルの街を歩き、ヨーロッパみたいだね、若干ほこりっぽいようだね、と感想を洩らし、OBとかその他の名を持つ韓国製ビールを嚥下し、時折激辛キムチに火を噴いたりなどもした。その昔、作曲家の武満徹は「そして、それが風であることを知った」ようだが、私はついに、私がニンニク臭いことを知った。

しかし最大の収穫はソウルの(多分)由緒正しきコンサートホール、ソウル・アーツ・センター( 公式サイト[英語] )に行ったことであろう。そこで私はJ.S.バッハ「ヨハネ受難曲」を観た聴いた。清水の舞台でS席であった。なお同日は午後にも全く別の公演があり、そちらは例の平壌帰りのNYフィルであったのだが、残念ながらそちらは聴けず。私が聴いたのはエイジ・オブ・エンライトメント管弦楽団。エヴァンゲリスト(福音史家、すなわちストーリーテラーの役)を歌ったのはマーク・パドモアだ。パドちゃんだ。なれなれしくて恐縮だ。

いや、彼も素晴らしかったが24番、30番、35番も素晴らしかった(曲の通し番号だけで解るという奇特な方、ああ、ああ、と首肯して下さい)。韓国語だったためになにを言っているのかさっぱ解らんかった詩と聖書の朗読も素晴らしかった。

そして私が印象を受けたのは一体に韓国の聴衆は日本と比べ、情熱的であったという点である。たった一回のコンサートで結論付けるのはどうかとは思うけれども。客席数2,500を越えるこのホールの、この日はわずか半分にも満たない聴衆であったが、演奏後は日本ではまずないほどの盛り上がりを見せ(もちろんここには演奏が素晴らしかったという前提が付くのだが)、立ち上がってブラボーと叫ぶのみならず、ピーピー!オーイエー!と盛んな歓声があがり、果ては太鼓を持ち出しどんつくどんつくの大騒ぎとなった(これはウソ)。

国民性の違いとはクラシック音楽の世界にもはっきりと現れるものなのであるなあ、と感じた一晩であった。そんなこんなで、ソウルで受難を叫ぶ夜は大変満足の夜となった。完。

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